新宿区歌舞伎町
街はネオンの夢魔が住む峡谷
ここでは電気の蓄積物が燃え盛り
言葉は意味のないものと化す
多くの人々が寂しさを背負い
急ぎ足で蠢く中
一人ポツンと寝そべってみたい
今 私は終わりのない螺旋階段で
あなたを待っている
あなたの心に住む賢人を信じて
ネオンの中でもがいてる
しかしあなたは私に目を向けようともせず
彼らと共に笑っていた
私は扉から扉へと
哀れみを乞い歩いた
そして夢の中で生きるには
ムーン・ライトだけが助けになると悟った
誰にも頼ることの出来ないこの街では
結局 人々はそれぞれの道に
戻って行くしかないことに気付きながらも
そふと ましーん
1980年6月10日発行
同人誌『投射』 三十一号に投稿