PEACE IN TIME

ギャラリー形式のMy Photograph Album

遠い記憶 VOL.3

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                                                  京急本線 屏風浦~杉田                                                      横浜市磯子区中原1丁目

 

                       紅白帽

               見えなかった紅白帽
               たいしたものじゃないからと
               つまらないものだからと
               触れようともしなかった

               丘の上のカップの中にいたのは
               混ざり合おうとしない私達
               液体に含まれていた醜い臭いの沈殿物

               自我という刃が
               帽子を引き裂く姿を
               シャボンの中から眺めてた
               でもそれは、いつもの風景
               私は帽子を斜めに被ることもせず
               ただその液の中に浮遊していた

               今、切り捨てたはずのおぼろげな過去が
               陰鬱な光を降り注ぎながら私を掻き乱す

               なぜあの帽子を手に取らなかったの
               なぜあの帽子を捨て去ったの
               自分は羽根飾りのついた紅白帽を被っていたのに

 

私が通っていた小学校には、
何年間もずっといじめに遭っていた女の子がいました。
彼女とは、小学校3年生の時に同じクラスになりました。
でも、その一年間で話を交わした記憶がありません。
声を掛けたくても学校、クラスの雰囲気がそれを許さず
ためらって声が出ませんでした。
彼女と遊ぶ級友の姿も記憶にありません。
彼女は、いつもうつむいて時の経つのを待っていました。
小学校近くの駅前を
学校の中では見せた事のない笑顔でお母さんと歩いていた姿、
遠い記憶として今でも目に焼きついて離れません。

 

この詩は、いじめを傍観していた自分の情けなさ
自分にふりかからないことには、
他人の辛さが分からなかった不甲斐なさを悔いて書き上げました。