PEACE IN TIME

ギャラリー形式のMy Photograph Album

福の神

横浜市西区中央1

 

戸部町界隈を歩いていたら
御所山の交差点で
福の神に出会いました。

この福の神、四郎といい
明治時代に、
仙台市に実在した人物です。

知的障害を持っていた四郎さん
理由もなく人のうちに来ては、
愛想の良い笑顔を振り撒いて、
何となく帰っていく

不思議なことに
四郎さんがやって来た家は、
次第に運が向いてきて、
良いことが起こる。

やがてそのことが
町中の評判となります。

ある時などは、
事業がうまく行かず、
死ぬことさえ覚悟した
人物の家の前に、
ふらっと現れると、
四郎さんは
こう言い放ったという。
「そんな恐い顔しないで、
俺みたいに笑ってけさいん」
(仙台弁で笑ってください)

四郎さんに、そう言われて、
ふと鏡で自分の顔を覗いて見ると、
そこには鬼のような形相の男がいた
 

これでは他人相手の商売は
できるはずもないと、はっとして
目が覚めたそうです。

玄関に戻ると
そこには四郎さんはいなかったが、
自分がこんなに落ち込んでいるにも関わらず
自分を支えるために
頑張ってくれている妻と、
若い長男が立っていた。

「今、四郎さんがきていたろう。
みんな見たか?
どごさいったべ」(どこにいっただろう?)

「さー、しゃねちゃや」
(さーわからないな)と長男が答える

主人は、なぜ自分の商売が
うまく行かなかったのか
その原因が、
何となく理解できたような気がした。

すると商売もうまく行くようになり、
見る間に、
元のような元気さを取り戻した。

このように
四郎さんが立ち寄る家や
人々には幸運をもたらし、
「四郎さん、四郎さん」と
いくら招いても
見向きもされない家には、
福は来なかった。
四郎さんは人を見抜く力があり、
ずるい人や
いじ悪い人間は大嫌いだったらしい。